ここでは皮膚を切開することによってたるみを改善する治療について書かせていただきます。くれぐれも大切なことは自分で治療方法を選ぼうとせずに、ご自身の症状や求めるものにあった治療が何であるかをカウンセリングで知るという姿勢です。また、同じ治療名であっても医療機関ごとに手技やテクニック、手術の結果は違いますので症状にあった説明をお受けになる必要があります。
皮膚のゆるみのみを改善するためには皮膚を切開してたるみを取る必要があります。
通常は皮膚のすぐ裏に張り付いている眼輪筋という薄い筋肉を斜め上に引っ張って固定します。
その時余った皮膚は切除します。
ただ単に皮膚のみを切除するという治療方法もあります。
その際に、目の下の膨らみおよびその下の影を同時に改善するためにはふくらみを作っている眼窩脂肪という脂肪を処理する必要があります。
ふくらみを減らすことで改善できそうな場合には切開しているところから量を減らします。
減らすだけでは良い形がえられない場合にはふくらみの下の影に眼窩脂肪を移動して、敷き詰めます。
それをハムラ法と呼びます。
ハムラ法は厳密にはもう少し細かな話がありますがここでは割愛します。
≪一般的な特徴≫
ここでは皮膚切開による目の下のたるみとりの症例紹介を行っております。
リスク:腫れ、内出血、感覚の鈍さ、痛み、外反(アッカンベーの状態)、左右差などあります。
詳細は後述しております。
費用:44万円(税込み)
皮膚を切開する手術は切開しない手術に比べてよりよい結果が得られると思われている方が多々いらっしゃいます。目元のハリに対しては皮膚切開はとても有効な治療方法です。しかしながら形に関しては必ずしも皮膚切開による治療方法の方がよいとは言えません。皮膚切開で得られるメリットは基本的に皮膚のハリ感です。
形を改善するだけで良く見える場合は皮膚を切開するメリットはあまりありません。そして、目元でご相談に来られた方の中で、十分にメリットがある方は実はそれ程多くはありません。
形に関することで皮膚切開のよい適応になる症状があります。それは涙袋についてです。まつ毛の生え際にある笑うと膨らむ部分を涙袋と言います。涙袋は眼輪筋という筋肉とそれを覆う皮膚から成り立っています。この涙袋がとても緩んでいて困っている場合には皮膚切開は有効な手段だと言えます。実際、このたるみが気になりますと言ってこられる方はいらっしゃいます。その場合には皮膚の切開を検討する必要があります。
ところが、涙袋の緩みに対して皮膚切開を行ってハリを作ったときに必ずしもお若いときのような涙袋になるとは限りませんのでその辺はよくご相談される必要があります。具体的には、ハリ感は出たけれどもそれほど膨らみのない涙袋の状態、あるいは大きな涙袋、になり得ます。切開によって涙袋を作る方法はありますが再現性に乏しい印象があります。もしかしたら絶対に目指した形を作れる先生がいらっしゃるのかも知れません。(が、ほとんどいらっしゃらないと思います。)
涙袋の緩みがあまりない場合には皮膚を切開しない方法で手術をしたときの方が涙袋の形は自然に見えると思います。ただし、涙袋の診察は簡単ではありません。なぜならば、目袋のふくらみで隠れている可能性があるからです。
治療を検討されている方が最も困るのは、涙袋と目元の理想的な形に関してそもそも考察のない医療機関に相談をしてしまう場合だと思います。「たるみが気になるから切開をお勧めしますよ」となった場合にはもしかしたらその可能性がありますので再度確認されることをお勧めします。
目の下のたるみ治療でハムラ法をお受けになられた方を拝見する機会があります。
そして、そこでときどき思うことはどのような目元の形を目指して治療をされているのかなということです。
と言いますのは、目元はなだらかなのですが非常にのっぺりした状態になっていることがあります。
のっぺりした状態とは涙袋とその下の目元の立ち上がりにメリハリがない状態です。
ハムラ法の手術方法自体は形成外科的な手技が可能であればそれほど難しい手術ではありませんが、メリハリのある形をつくるとなると大変難しい手技になります。ですのでハリ感や形のゴールをどこに設定するかを話し合うことが大切です。
またそのときに色の変化などについても考える必要があります。
皮膚を切開した場合に起こり得ることとして、下まぶたの外反(あっかんベーの状態)が起こる可能性が少しですがあることです。これは筋肉の引っ張り方や切開線の拘縮などが関係しますが、皮膚の取りすぎでなければ通常は自然に戻ってきます。それでも切開をしない手術ではほとんどその可能性はないため、そのことも考慮にいれる必要があります。