「目の下の経結膜脱脂法をせずに目の下への脂肪注入をするのはどうですか?」
というご相談をときどきいただきますので、ここではそれについてお伝えしたいと思います。
目の下のクマやたるみを治療する場合に、経結膜脱脂法や経結膜脱脂法に脂肪注入を併用するなどの治療をよく行いますが、脂肪注入のみを行うのはどうでしょうかという質問になります。
脂肪注入単独を目の下に行うことはとてもよくあります。
最近こそ経結膜脱脂法の良さと脂肪注入の良さが組み合わされるようになりましたが、むしろ、以前は脂肪注入単独を目の下に注入することは普通だったように思います。
今現在でも目の下への脂肪注入のみを行うことは美容外科全般で普通に行われます。
ただし、経結膜脱脂法に脂肪注入を併用する場合にはそれなりの理由があります。(後述します。)
例えば上記のように目の下の(眼窩脂肪の)膨らみによる影が症状としてある方に対して脂肪注入のみを行った場合、術後2ヶ月程度は良いのですが、脂肪の生着を評価できる3ヶ月以降くらいになるとうっすらと膨らみの影がでてくることがあります。
目安として、ヒアルロン酸注入で症状が改善できなかった場合には、脂肪注入単独でもうまくいかないことが多いと思います。
本来、「脂肪注入は1回では生着が悪いので何回か注入をする必要があります。」と言われることがありますが、その主な理由は上記のような症状に対して脂肪注入のみで解決をしようとした場合にはそういう説明は間違っていないと思います。
ところが上記のような症状に対して眼窩脂肪をある一定の条件を満たすまで減らした上で脂肪注入を行うと1回の注入で満足のいく形になることが多々あります。(というか大半はそうです。)
ただし、眼窩脂肪を処理する必要がない症状であればもちろん脂肪注入のみでも目の下のくぼみやクマは改善することが可能です。
どのような症状であれば経結膜脱脂法を行わなくてもよいのかはなかなか一般の方では分からないと思いますのでよくご相談されるとよいと思います。
なぜ、一般の方ではなかなか分かりにくいと言うかというと、専門家が見れば目の下の脱脂(経結膜脱脂法)をして脂肪注入をした方がよい症状でも、「目の下のくぼみが気になるので脂肪注入で改善しますか?」と質問に来られるからです。
一般の方からすればくぼみのように見えても実は見方を変えるとそれはくぼみではないということが多々あります。
ですので、クマやたるみが改善して見える形にするためにはどうしたらよいかを判断するのは専門家に相談した方がよいと思います。
また、経結膜脱脂法は色々ハードルが高いのでやっぱり脂肪注入のみを受けてみたいと言われる方もいます。
それはそれで治療の経過をよく理解されていれば選択肢の一つとしてよいと思います。
複数回の脂肪注入が必要になるかも知れませんが目元で悩まれている方のゴールにたどり着ける可能性はあると思います。
あらためて、脂肪注入のみではなく経結膜脱脂法を併用する理由をお伝えしますと、経結膜脱脂法をする理由は眼窩脂肪の膨らみをただ単に無くしたいというだけではなく「理想的な目元」に近づけたいので涙袋から頬へつながる立体感を追求したいということがあります。
複数回の脂肪注入で眼窩脂肪の膨らみをごまかすことができたとしても、経結膜脱脂法を併用した脂肪注入術で行った治療結果にはならないということも知っておかれるとよいと思います。
また、目元の治療は経結膜脱脂法や脂肪注入だけではなく経結膜的眼窩脂肪組み換え術などの方法もありますので合わせて確認しておく必要があります。