(術前・術後ともにメイクなし)
「私の目の下のクマは脱脂だけではだめですか?」
「私の目の下のクマに裏ハムラ法はどうでしょうか?」
「脂肪注入までする必要がありますか?」
などの質問をよく受けます。
症状ごとの様々な理由から色々な方法で手術を行うことがありますが、その一つの例をお伝えしようと思います。
今回は
経結膜脱脂法でもなく、
経結膜脱脂法+微細分離脂肪注入でもなく、
経結膜的眼窩脂肪組み換え術(裏ハムラ法+当院内部処理)でもなく、
経結膜的眼窩脂肪組み換え術(裏ハムラ法+当院内部処理)+微細分離脂肪注入 を行わせていただきました。
ある手術方法や治療方法を選ぶ理由は一つではありません。
その中の一例としてお伝えします。
症例写真の方は目の下のクマを改善したいということでご相談に来られました。
拝見しますと目の下に強いくぼみを伴い、そのくぼみの中に眼窩脂肪による膨らみが存在しておりました。
クマの内側には強い「ハの字」の食い込みがあり、茶色い色が存在しておりました。
クマを改善するためには見た瞬間に最高難度の治療が必要であると思いました。
例えば膨らみを減らしたいあるいは無いように見せたいだけであれば経結膜脱脂法を行えば十分な症状です。
ただし、経結膜脱脂法を行えば確実に目の下はくぼみ、茶色いクマは悪化します。
そこでよく行う方法として経結膜脱脂法に脂肪注入を併用することによってクマを改善する方法があります。
ところが今回の場合は極めてハの字の食い込みが強く、くぼみも強い症状でしたので慎重に考えました。
経結膜脱脂法を行ったあとに脂肪注入を行うとおそらく手術後3ヶ月の時点では上記症例紹介の微細分離脂肪注入術後3ヶ月のときと変わらないと思います。
ただし、5年後、10年後を考えた時に注入した脂肪が万が一、もう少し萎縮したとしたらこの方の場合には手術前よりも症状が悪化してしまうリスクがあると判断しました。
そのため経結膜脱脂法によってもともと少ない目の下の膨らみの眼窩脂肪を減らしてしまうのではなく、あえて眼窩脂肪を減らさずに影がなくなるように下まぶたの裏から眼窩脂肪を下へ移動することで目元をいったんフラットにすることを考えました。(経結膜的眼窩脂肪組み換え術)
そのようにしていったん目の下をフラットにした上でそれだけではクマは改善しないので、そのあとに脂肪注入を行うことをご提案しました。
そうすれば脂肪注入の定着率がもしも低かったとしても将来困ることがないであろうと判断しました。
治療の選択肢は他にもいくつかありましたがその選択肢の一つとして「経結膜的眼窩脂肪組み換え術+微細分離脂肪注入」をご提案しました。
ただし、色々と負担がかかるのでゆっくりと考えていただきました。
ご本人様からそうしたいという希望があったため、今回は「経結膜的眼窩脂肪組み換え術+微細分離脂肪注入」を行わせていただきました。
術後の経過としては経結膜的眼窩脂肪組み換え術を行った時点で「これだけでもずいぶんよくなりました」とのことでした。
経結膜的眼窩脂肪組み換え術の結果が見えた術後4か月の時点でこれより将来クマが悪化することはないという確認をしました。
それでも経結膜的眼窩脂肪組み換え術によって影は良くなっていますが、色は若干悪化しています。経結膜脱脂法を行っていればこれよりくぼみとクマの色が悪化することになります。
予想通りの結果でしたのでこの結果の上で予定通り微細分離脂肪注入を行い、できるだけクマを目立たなくしました。
術後は茶色い色が残っておりましたが、術前と比べるとある程度の改善があったかと思います。
経結膜的眼窩脂肪組み換え術を行ってさらに脂肪注入も行うとなると2回のダウンタイムと体の負担と費用の負担がかかってきます。
それでも目の前の方の将来を考え、本当にその方のためになることを考えた場合、あえてそのような負担がかかるご提案も選択肢としてお伝えすることがあります。
経結膜的眼窩脂肪組み換え術も目の下のクマに対する脂肪注入もとても難しい治療です。
できれば簡単で負担の少ない治療で改善が望める症状であればその方がよいと思います。
それでもその方のことを思えば敢えて負担がかかることをも合わせてご提案することも時にはあるという例になります。
また、簡単な治療方法のみを安易にご提案したり自分が出来ない治療方法をご提案しなかったりということはできるだけ避けたいと考えております。
診断や治療方法の提案は医師個人の経験によって全く異なります。
様々な手術の方法の経験が無ければ想像で意見を言うことになりますが、経験があればあるほど慎重に物事を判断することになります。
それほど目の下のクマの治療は難しいと思います。
治療を担当させていただきありがとうございました。